土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
地球環境研究論文集 第22巻
地球温暖化による積雪量の変化がスキー場の営業に及ぼす影響―富山県を対象として―
大田原 望海大西 暁生佐藤 嘉展佐尾 博志森杉 雅史
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2014 年 70 巻 5 号 p. I_21-I_29

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抄録
 地球温暖化はもはや避けることのできない深刻な問題である.特に寒冷地域では将来の雪の状況(降雪,積雪,融雪)が現状と比べ大きく変化することが指摘されている.そこで本研究では,将来の地球温暖化に伴う積雪量変化がスキー場の営業に及ぼす影響の分析を試みた.まず,富山県にあるスキー場来客数と観測積雪量との関係を回帰分析によって推定する.次に,観測積雪量とGCM(Global Climate Model,全球気候モデル)並びにSVAT(Soil Vegetation Atmosphere Transfer,地表面熱収支モデル)によって推計された積雪量データを用いて,観測積雪量と整合性のとれた将来積雪量の予測データを作成した.さらに,現在の来客数と積雪量の関係ならびに将来の積雪量予測データ(2075~2099年)を用いることによって,将来の積雪量変化が来客数や営業利益に与える影響を算出した.その結果,来客数と営業利益は現状と比較して半分程度に減少することが分かった.最後に実際のスキー場経営者に,本研究で得られた結果を踏まえた温暖化適応策についてのアンケート調査を実施し,より適切な対応方法について考察した.
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© 2014 公益社団法人 土木学会
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