抄録
近年インドネシア・ジャカルタでは,1996年,2002年,2007年,2013年および2014年1月に大規模な洪水氾濫が発生し,多くの死者,避難者や多大な経済的損失が生じている.このようなジャカルタ洪水は,地球温暖化や流域都市化等の影響で今後も規模や頻度の増加が懸念されている.本論文では,インドネシア・ジャカルタ洪水を引き起こす様々な人為・社会的問題を記述・整理するとともに,2013年1月に発生したジャカルタのチリウン川の洪水に対して降雨流出・氾濫解析モデルの適用を行った.解析結果より,2013年1月チリウン川の洪水氾濫を本論文で使用したモデルは再現出来る事を示すとともに,洪水氾濫はチリウン川下流の洪水流下能力の低い区間で生じていることを明らかにした.