抄録
メコン川流域では,人口増加と急激な開発に伴う人間活動の様々な変化から,将来的な水質汚濁問題が懸念されている.そこで本研究では,メコン川本流・支流の水質環境を空間的に評価することを目的とし,水質観測データと空間統計データから栄養塩排出原単位を推定する線形モデルおよび河川流量を出力する水循環モデルを構築した.また,それらの出力を用いてメコン川の栄養塩濃度を推定した.栄養塩排出原単位については,メコン川流域の汚濁排水処理形態や営農状態などの特徴を表した値が推定された.また,河川流量の計算値は観測値の流況を良好に再現し,年平均の栄養塩濃度も実測値とよく一致した.