抄録
本研究では山梨県北杜市で活動する「八ヶ岳南麓風景街道の会」における市民と行政の協働を事例として,協働の経験を通じて地方自治体職員がどのように認識と行動を変化させたのかを,聞き取り調査に基づき定性的に分析した.その結果,行政職員は市民との協働への参加を通じ,敵対的認識の解消からメリットの認識,主体的な貢献へと進み,業務への活用に至るというプロセスで認識と行動を変容させていた.そこには,協働への参加経験の肯定的評価が参加意識を強化するという正のフィードバックループが存在していた.その評価の要因としては,目的意識に対する共感,知識・経験への尊重,行動に対する尊敬が見いだされた.また,本事例での行政職員への影響には,本会の継続的で固定的な協働形態も要因となっていると考えられた.