2014 年 70 巻 7 号 p. III_103-III_110
水道水の快適性を大きく損なう原因となる臭気物質トリクロラミンの前駆体であるアンモニウムイオンのオゾン/触媒処理における酸化特性・機構について,常温・希薄水溶液中にて実験的検討を行った.その結果,オゾン/触媒処理におけるアンモニウムイオンの酸化は,触媒表面への吸着によって促進されること,またヒドロキシルラジカルの寄与は小さいことを示した.さらに,共存無機イオンの影響として,塩化物イオンおよびカルシウムイオンが存在するとき,アンモニウムイオンの酸化が促進されることを明らかにした.あわせて,有機物が共存する場合にも,酸化反応が促進されうることを指摘した.またその単位濃度あたりの寄与は,カルシウムイオンおよび塩化物イオンの寄与を上回ることを示した.