土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
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環境工学研究論文集 第51巻
下水中におけるCs, Srの存在形態と下水処理過程での挙動との関係
石川 奈緒畑中 拓真伊藤 歩海田 輝之
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2014 年 70 巻 7 号 p. III_209-III_215

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抄録

 2011年3月に発生した福島第一原子力発電所の事故により放射性物質が環境中に放出した.その一部は下水へ流入しており,既に放射性Csが下水汚泥中から検出されている.本研究では,上記事故で環境中に放出された放射性核種を持つCsとSrに着目し,両元素の下水処理過程における移行挙動について,全体的な総量から汚泥,焼却灰への移行率を明らかにした.さらに汚泥への移行に対する下水中のCs,Srの存在形態との関係を明らかにした.Cs,Srの移行量は,最初沈殿池汚泥と最終沈殿池から発生する余剰汚泥で同程度であり,最終的な脱水汚泥への移行割合は,Csでは流入分の約20%,Srは9.1%であった.さらに,主に無機固形物質に収着している粒子態画分のCs,Srが最初沈殿池汚泥の固形分として存在し,エアレーションタンク内ではSrのみが活性汚泥のような有機物質との収着により余剰汚泥の固相に存在することが示された.

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© 2014 公益社団法人 土木学会
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