日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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原著
慢性呼吸不全患者における体成分変化
―在宅酸素療法施行中患者の検討―
西村 善博仲田 裕行松原 正秀恒成 徹筒泉 正春
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1993 年 3 巻 2 号 p. 97-101

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抄録

慢性呼吸不全患者の体成分変化の有無を明らかにするために,近年開発された骨塩定量法であるdual energy X-ray absorptiometory (DXA) を用い,在宅酸素療法(HOT)中の慢性呼吸不全患者の体成分を検討した.当院においてHOT施行中の男性患者9例(72.7±8.0歳)および女性患者7例(72.0±5.6歳)を対象とし,健常男性9例,女性9例を対照群とした.DXAはNorland XR26 を用い,全身スキャンにより,骨塩量(BMC),脂肪量(FAT)および除脂肪体重(LEAN)を分離測定した.HOT群の体重は対照群と比較し,男女とも有意に低値を示した.体成分ではBMCは男女とも対照群より低値を,FATは女性で有意に低値を男性でも低値の傾向を示した.女性HOT群では,BMCと動脈血炭酸ガス分圧と有意な負の相関を認めた.以上より,HOT中の慢性呼吸不全患者には体重減少およびBMCの低下を認め,骨粗鬆症の進行との関連で,骨折の可能性について十分な注意が必要と考えられる.

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© 1993 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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