抄録
安価で測定時に電源を必要としないペーパーディスク型地下水流向流速計の現地適用を行った.本装置は紙の上に印刷された染料インクが紙の中を浸透する水の流れにより輸送された軌跡(テーリング)が表れることを利用したものである.市販のインクジェットプリントを用いて染料インクで円形のパターンを印刷した画用紙を透水性スポンジで挟み,地下水観測井のストレーナ付近に一定時間静置する.染料インクの流れた方向から流向とし,室内実験で作成した検定曲線から流速を推定した.平成25年9月19日に山口県山口市秋穂町地先に位置する海岸砂州で現地適用実験を行った.計測された地下水流向は現地の地下水位から推定した結果と概ね一致したが,潮位変動による急激な流向の変化を伴った場合,本装置では流速の計測は困難であった.