2014 年 70 巻 7 号 p. III_413-III_418
宮城県柴田郡の水田において,淡水産巻貝である絶滅危惧種のマルタニシを対象として炭素安定同位体比および脂肪酸を指標にして同化している餌源を殻高サイズごとに検証した.炭素安定同位体比の結果からマルタニシは主に底泥や殻付着藻類を同化していることが示された.また,殻高サイズが小さいほど懸濁物質の餌としての寄与が大きくなる傾向が示された.さらに,脂肪酸バイオマーカーによる解析の結果,マルタニシは殻高サイズにかかわらず,緑藻・藍藻に由来する脂肪酸を多く含んでおり,これらの藻類を主に摂食・同化しているものと考えられた.