2014 年 70 巻 7 号 p. III_433-III_440
小規模下水処理場でも,下水汚泥や生ごみなどの有機性廃棄物を集約して嫌気性消化することで効率的なエネルギー回収が期待でき,その際の下水汚泥運搬には脱水汚泥が有利である.脱水汚泥の中温嫌気性消化について,投入基質濃度が消化特性や消化液性状に及ぼす影響を調査することを目的として,無希釈(TS 20%程度)からTS 5%程度の濃度範囲の脱水汚泥を基質とした連続式実験を行った.投入基質TSが10%以下の場合,安定した中温嫌気性消化が可能であり,投入VSあたりのメタン転換率は0.47NL/gVS程度,粘度は5dPa・s以下,アンモニア性窒素濃度はおおむね3,000mgN/L以下で,VFAsの蓄積は特に見られなかった.投入基質TSを15%以上とした場合は,処理効率が悪化し,VFAsの蓄積も見られた.