抄録
骨炭を用いると溶液中からフッ素を除去することができる.このメカニズムとしては主にF-とOH-とのイオン交換であるとされてきた.しかしながら,鳥骨炭でフッ素を除去した後の溶液のpHを測定してみても大きく上昇することはないため,フッ素除去のメカニズムは単純なF-とOH-とのイオン交換では説明することはできない.そこで,フッ素除去のメカニズムを溶液中の各イオン成分の動きにより検討した.
その結果,F-はリン酸イオンとのイオン交換や,OH-とイオン交換した後,溶液中のCO2によってHCO3-に転換される反応,またはHCO3-とのイオン交換によって除去されていた.Ca2+を含む溶液の場合は,それらの反応に加え,フルオロアパタイトが生成される反応が生じ,フッ素が除去されることが示唆された.