抄録
塩化物イオンを多く含む下呂温泉を対象に,廃棄物等から合成した廃石膏アパタイトが温泉排水中のフッ化物イオンを除去できるか検証するとともに,廃石膏アパタイトのフッ素除去機構,処理条件や再利用性について検討した.廃石膏アパタイトによって温泉水中のフッ素を排水基準以下に除去できた.廃石膏アパタイトのフッ素吸着能は,他のアパタイトよりも高いことが明らかとなった.廃石膏アパタイトによって吸着されたフッ素はpH2-8において安定した状態であり,フッ素除去の80%がフルオロアパタイトの生成によると推定された.温泉排水からのフッ素除去条件は,添加率2g/L,処理時間は5分であった.しかし,フッ素脱離後に廃石膏アパタイトを再利用してもフッ素を排水基準以下にすることはできなかった.