抄録
都市下水中に含まれる各種の生理活性物質は,その物性にもよるが下水処理場である程度除去されているが,こうした物質中で魚類への影響が懸念されているものの一つにエストロゲンがある.今後,下水処理水の高度処理として膜処理が普及すると考えられることから,膜処理過程でのエストロゲン活性の低減効果を把握しておく必要がある.外部刺激に速やかに反応する遺伝子発現に着目し,メダカの性特異遺伝子群を探索・抽出し,その遺伝子発現を指標として急性毒性試験と同じ96時間の半止水式曝露実験から,NF膜,RO膜の性特異遺伝子発現の変動抑制効果の評価を試みた.その結果,96時間の曝露実験でもエストロゲンがメダカの性特異遺伝子群へ及ぼす影響をfeminization factorとして定量的に評価することが可能であった.本法によるNF膜,RO膜のfeminization factorの平均低下率は,それぞれ47%と95%となった.