抄録
本研究では,土壌洗浄による放射性Cs汚染土壌の浄化・減容化効果を把握することを目的に,各洗浄プロセスの放射性Cs量の収支を検討した上で,トレードオフの関係にある浄化・減容化の評価を行なった.土壌洗浄による浄化効果は高く,20,000 Bq/kg前後の元土壌から概ね3,000 Bq/kg以下の浄化産出物(洗浄土+粗粒子分)が得られること,減容化効果も高く,元土壌の70~80%を浄化産出物として回収できることが判明した.また,元土壌中の有機物のほとんどが濃縮残渣に集約され,浄化産出物の強熱減量は2~3%と低い値となった.分級処理に化学的洗浄処理であるスクラビング・フローテーションを追加することは,高い除去率と高い減容率の両立に極めて有効であると考えられた.