抄録
IPCC第5次評価報告書の統合評価報告書では,地球温暖化には疑う余地がないことが示されている.北海道のような積雪寒冷地では,水資源を積雪に依存していることから,気候変動により渇水のリスクが増大する可能性があるため,気候変動による影響の評価が急務である.
そこで本研究では,札幌市に水道用水を供給している定山渓ダムを対象に,気象庁の気候変動モデルデータNHRCM5を用いて,気候変動の影響に関して考察した.結果,将来気候においては,積雪・融雪量の年々変動幅が大きくなり十分な貯水を確保できない年が出現しやすくなる可能性があること,融雪後期のダムの貯水位が高い時期に強雨が発生する可能性が高まることが示された.