抄録
石狩川上流部の礫厚が薄い区間(薄礫区間),上流から下流へ礫厚が減少している区間(礫厚遷移区間),礫厚が厚い区間(厚礫区間)において,横断測量,浸透流速,浸透流の溶存酸素,水温の調査を行い,産卵床の位置を調査した.その結果,薄礫区間では全体的に浸透流速が小さく,浸透流の水温は低く,溶存酸素が高かった.厚礫区間では傾向が異なり,浸透流の溶存酸素量が他の半分以下の地点や,浸透流の水温が河川水温より2℃以上高い地点が確認された.このため厚礫区間には滞留時間が長い浸透流の混入が考えられた.また礫厚遷移区間においても,浸透流の水温に同様の傾向が確認された.産卵床は薄礫区間ではほとんど確認されず,厚礫区間と礫厚遷移区間では確認され,礫厚が厚く様々な滞留時間の浸透流が混在することが産卵環境に寄与すると考えられた.