2015 年 71 巻 6 号 p. II_287-II_296
世界各国の経済成熟度が異なるままにグローバル化が進んだ現在,資源生産性の最大化のためには国際資源循環は重要な鍵となる.静脈資源は経済成熟度や工業発展度により各国内での供給量や需要量が変化するため,それらを調整する形で世界全体の貿易需給バランスが決定されるほか,低い運賃負担力により価格と輸送コスト次第では経済的に優位となる埋立処分が選択される可能性もある.すなわち,世界全体の需給バランスと輸出可能相手国次第では,我が国の国際資源循環は進展しなくなる可能性もある.
本研究では,1992年と2012年の静脈資源貿易ネットワークからその構造的な特徴や中心性の高い国の変化を明らかにし,得られる指標から我が国の国際資源循環の状況・特徴を相対的に評価する.さらに,得られる指標等を踏まえ,静脈資源貿易に係る社会システムの課題を明らかにする.