2015 年 71 巻 7 号 p. III_267-III_276
淡水魚は海水魚よりも放射性セシウムを蓄積しやすいと考えられている.しかし成長段階に応じた蓄積については,十分に明らかになってはいない.そこで本研究では,オオクチバスMicropterus salmoidesによる放射性セシウムの蓄積様を明らかにすることを目的として,成長段階ごとの放射性セシウム濃度を測定し,セシウム137/カリウム40比についても検討した.セシウム137濃度は孵化により低下し,摂餌開始により上昇した.1個体あたりのセシウム137蓄積量は,孵化後6ヶ月間で8.6×102倍となり,成長に伴う摂餌の開始と食性の変化が放射性セシウムの蓄積に寄与している可能性が示唆された.