抄録
畜産廃水は一般に都市下水よりも濃度が高く処理が困難である.本論文では,放流水域への負荷削減を目的に養豚場の生物処理放流水中リン濃度低減策として,リン酸カルシウム沈殿生成による濃度低減について検討している.生物処理過程で原水中リンの96%が除去されリン濃度は大きく減少していたものの,処理水リン濃度は17 mgP/Lにとどまっていた.この処理水に対しカルシウムを添加することで最大67%の除去が可能であることを示す.また,沈殿生成に関し化学平衡計算にる解析を行った結果,代表的な化学平衡計算ソフトにおけるリン酸カルシウム沈殿の熱力学的パラメータ登録状況と使用上の注意点についても述べる.