抄録
本研究は,再生水飲用を目的とした短い水理学的滞留時間(HRT)での土壌浸透処理(SAT)における水質浄化作用および有機物の生分解特性について,実験的考察を行ったものである.HRT3.5日および7日のSATによる下水処理水中溶存有機炭素の除去率は70.7および74.3%であり,3.5日以内の短いHRTでのSATが高い有機物除去性能を有することが提示され,また,消毒副生成物生成能低減の観点からも短いHRTでのSATの有効性が示された.Biolog EcoPlatesTMを用いた有機物の生分解特性解析により,微生物活性が高い夏季において,HRT1日程度のSATでの浸透過程において生分解特性が変化することが明らかとなり,短いHRTでのSATにおける多様な有機物群の生分解が期待された.