土木学会論文集G(環境)
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和文論文
水中病原体の許容感染リスクに基づいた水質衛生基準候補値の算出方法に関する提案
小林 彩乃佐野 大輔加藤 毅伊藤 寿宏宮村 明帆三浦 尚之石井 聡岡部 聡
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2016 年 72 巻 3 号 p. 40-49

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抄録

 本研究では環境水の水質衛生基準候補値を算出する方法を提案する.まずモニタリング調査結果をもとに指標微生物に対する病原体の濃度比分布を推定し,さらに定量的微生物リスク評価の手法を用いることで仮定された水利用形態における病原体の河川水中許容濃度を算出した.この病原体の水中許容濃度は,指標微生物の病原体に対する濃度比分布と照合され,安全率を勘案した上で水質衛生基準値としての指標微生物濃度を算出した.個体差に関わる安全率を10とした場合,生活環境の保全に関する環境基準(河川)B類型における大腸菌の水質衛生基準値の候補として150 MPN/ 100mLを得た.本研究で提案した手法により,モニタリングデータの活用と仮定の検証を進めることで,「科学的根拠」に基づいた水質衛生基準値の設定が可能となる.

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© 2016 公益社団法人 土木学会
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