土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
地球環境研究論文集 第24巻
Event Attribution実験を用いた2012年アマゾン川洪水の要因分析
木村 雄貴田上 雅浩今田 由紀子平林 由希子
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2016 年 72 巻 5 号 p. I_1-I_6

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抄録

 地球温暖化が近年の異常気象や極端現象に与える影響を定量化することを目的に,大気大循環モデル(AGCM)を用いた過去の多数アンサンブル実験を行い,極端現象の発生確率を求めるEvent Attribution(EA)という解析手法が開発されてきた.しかし,既存のAGCMでは河川氾濫の再現性があまりよくないため,河川の洪水に対してEAが実施された例はこれまでに無い.そこで,本研究はEA実験を入力値とした河川氾濫モデルの多数アンサンブル実験を行い,2012年にアマゾン川上流で発生した洪水の要因分析を行った.その結果,人為的な地球温暖化が同洪水に35-48%寄与していること,アマゾン上流域で洪水が発生する際には,太平洋北部と大西洋北部における高気圧偏差の卓越と,太平洋や大西洋北部からの水蒸気の流入がカリブ海からアマゾン上流域にかけて収束する傾向にあることが判明した.

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