2016 年 72 巻 5 号 p. I_147-I_154
本論文では東京都の多摩地域に位置する28自治体において,2005年から2014年の10箇年の月別地下水揚水量に自己組織化マップ(SOM)を適用して揚水量パターンの変動解析を行った.SOM解析の結果,10箇年の揚水量パターンの変動は6クラスターに分類され,さらに4グループに大別できることを示した.これは,揚水量の少ないパターンがグループA1及びA2に分類でき,地下水揚水量が多い主な変動パターンの大部分はグループB1とB2に分類された.さらに,グループB1とB2の大部分は,10箇年の後半に水道水源用途の減少等に起因して,グループA1及びA2に変動パターンが変化することが判った.また一部では,環境用途(池への補水)等の揚水増加に伴い,グループB1を維持することが確認できた.これらの結果から,SOM解析が地下水揚水量パターンの変動解析に有効な手法であることを明らかにした.