抄録
開発途上国の多くの水道事業体では,水道料金請求の対象とならない無収水が多く,水道事業経営を圧迫し,施設整備や水道サービスの改善が進まない大きな要因となっている.本研究では,途上国における無収水の原因構成や資金制約,無収水対策の費用,効果,及び効果の減衰を考慮に入れた無収水対策選択モデルを構築し,整数計画法を用いた最適化計算を行うことによって,望ましい無収水対策の選択を行う手法を検討した.構築したモデルにより,水道事業体が置かれている事業環境や資金制約などの条件を設定することで,制約条件を満たす最適な対策手法を選択することが可能となり,対策手法の選択に影響を与える因子が明らかになった.