抄録
本論文では,一般廃棄物最終処分場の延命化に寄与すべく,大都市におけるごみ焼却主灰のセメント資源化のシステム最適化を検討した.まず,セメント原料の化学成分を考慮し,既存セメント工場への主灰受入可能量を推計した.次に,既存セメント工場,新設エコセメント工場で資源化を実施した場合の主灰処理計画モデルを提案した.モデルによる分析の結果,主にトラック及び内航船舶による既存セメント工場への輸送が優先的に行われ,単独の自治体によるエコセメント工場は新設されないことがわかった.次世代型のエコセメント工場として他県との共同運営を検討し,既存工場とともに費用便益分析を行ったところ,今後既存工場での処理量を段階的に増やすのではなく,早期に他自治体とのエコセメント工場の共同運営を検討するべきであることが示唆された.