2016 年 72 巻 7 号 p. III_275-III_283
地下水汚染物質であるトリクロロエチレン(TCE)は,フェノールヒドロキシラーゼ(PH)によって好気的に分解されることが知られている.これまでに単離された種々のフェノール資化細菌は,そのTCE分解能力が異なっているが,複数の要因があり,原因は明らかでない.本研究では,PH遺伝子の比較解析を行うため,1株のCupriavidus属細菌を共通の宿主とし,PH遺伝子と共に,構成的に発現するtacプロモーターと発現量を評価する緑色蛍光遺伝子を,トランスポゾンによって染色体上に挿入し,TCE分解能を評価した.その結果,PH遺伝子の塩基配列が異なると,発現量やTCE分解活性に著しい差が生じ,それが最終的なTCE分解能に影響していることが明らかとなった.