抄録
電気炉スラグ含有フッ素のアパタイト処理による不溶化メカニズムを検討した。アパタイト処理によってフッ素の溶出濃度が低下し、ヒドロキシアパタイト(HAP)やフルオロアパタイト(FAP)の生成がXRD分析から示唆された。不溶化したフッ素の再溶出性は低かった。吸着実験および放射光XRD分析により、HAPへフッ素が吸着してからヒドロキシイオンとの置換反応によってFAPが生成する反応よりも、リン酸カルシウムからの直接的なFAP形成が主反応であった。HAPに吸着したフッ素は再溶出性が高いため、アパタイト処理によって不溶化したフッ素は、HAP等への物理的な吸着よりもFAP形成が主に寄与していると考えられる。アルギン酸ナトリウムを添加したアパタイト処理は層状の複合アパタイトを形成できるが、フッ素の不溶化効果を減少させる結果となった。