2016 年 72 巻 7 号 p. III_361-III_372
合意形成手法の1つであるプラーヌンクスツェレ(PZ)によって,荒川流域における2050年に望まれる水利用システムシナリオの検討を行い,PZにおける情報提供や討議が,参加者の水利用システムの属性選好やシナリオ選択に与える影響の評価を行った.併せて,インターネット調査会社の会場調査サービスを活用し,参加者の多様性を担保するPZ手法を検討した.参加者は,情報提供によって属性間のトレードオフを認識し,討議を通じて,水利用システムへの理解を深め,他者の選好を考慮することで,複数の属性が改善するシナリオ(汚濁負荷と高度浄水または取水制限の対応を優先するシナリオ)を支持するようになった.