2016 年 72 巻 7 号 p. III_429-III_436
2011年に発生した福島第一原子力発電所の事故で環境中に放出された放射性Csを含む廃棄物の一部は,管理型最終処分場へ埋め立て処分されている.本研究では,処分場浸出水とともに放射性Csが管理型最終処分場から漏出することを防ぐ目的で,処分場内の放射性Cs保持材として鉱物の使用を検討した.実際の浸出水を用いたCsの収着試験から,ゼオライトはCsの収着能がCs濃度に依存しないのに対し,イライトとバーミキュライトは低Cs濃度で効率的にCsを収着することが示された.また,各鉱物の陽イオン交換容量とCs収着量は高い相関を示した.加えて,脱離試験より,実験に用いたどの鉱物もCsをよく固定し,特にゼオライトが高い保持能を示した.さらにCs固定画分とRadiocesium Interception Potential(RIP)とは高い相関が見られ,RIPからCs固定画分を推定出来ることが示唆された.