2016 年 72 巻 7 号 p. III_45-III_53
本研究グループでは,前駆体から生成するPFCAs量をPFCAs生成ポテンシャル(PFCA-FPs)と定義してその評価手法を検討し,適用を進めてきた.本研究では,下水処理水が水源のほぼ100%を占める都市河川を対象に,流下過程におけるPFCAsとPFCA-FPsの挙動の把握を主目的とし調査を行った.その結果,1) 生成ポテンシャルとして評価された前駆体が下水処理放流水中に残留し,2) 河川流下過程でPFOAとPFHxAの負荷量が増加していた.3)また,PFPeA-FPやPFHxA-FP等の生成ポテンシャルとして評価された前駆体が底質に移行しやすい傾向が確認され,4)さらに,LC-MS/MSによるMRM測定を用いて未知物質の探索を試みた結果,河川試料から5:3FTCAや5:2ketonとみられるピークが検出され,5:3FTCAとみられる化合物の底質中の蓄積が示唆された.