2016 年 72 巻 7 号 p. III_497-III_503
神戸市建設局西水環境センター垂水処理場では,場内に建設された修景池において藻類の大量発生が問題となっている.本研究では簡易で低費用な藻類増殖の抑制策を提案するため,修景池の水質と藻類種を調査するとともに処理水の消毒に用いられる次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)と入手が容易な海水による藻類増殖の抑制効果を実験的に検証した.その結果,主要な藻類種は珪藻綱Fragilaria neoproducta(オビケイソウ属)であり,修景池の浅い水深と遅い流速,高い栄養塩濃度が大量発生を引き起こすこと,NaOClは藻類増殖の抑制効果が認められるものの放流先のノリ養殖に悪影響を及ぼす可能性があること,海水は抑制効果は乏しいが,藻類の帯状群体の形成を阻害する効果があることが明らかになった.