2017 年 73 巻 3 号 p. 134-142
合流式下水道越流水(Combined Sewer Overflow: CSO)が都市河川に及ぼす影響と,大規模雨水貯留管(平成の太閤下水)の供用による改善効果の評価を目的に,降雨時の東横堀川(大阪市)にて細菌叢を指標とした水質調査を実施した.東堀橋地点では,4.0 mm/hを越える降雨時にCSOが原因と思われる懸濁態物質濃度の上昇と,それに伴う細菌叢の変化が確認された.しかしこのとき確認された河川中の細菌叢は,下水処理場で入手した処理前下水の細菌叢とは異なるものであった.雨水貯留管供用後も降雨時に河川水の電気伝導度が増加したが,それに伴った河川中の細菌叢の変化は確認されなかった.雨水貯留管の供用は,CSO流入を抑制することで,河川水質の改善や河川微生物群集攪乱の緩和に効果があると考えられた.