抄録
本論文では,家庭部門における二酸化炭素(CO2)排出削減目標の達成の可能性について検討した.地域別の気候,住まい方等の違いによるエネルギー消費特性を考慮し,最新のデータを用いて,5種類のシナリオ別に2050年までのエネルギー消費量及びCO2排出量を推計した.その結果,2030年のCO2の削減目標は,電気事業連合会の想定レベルである0.37 kgCO2/kWh まで電気のCO2排出係数が下がれば,十分に達成可能であることがわかった.2050年については,機器の効率改善,電化の進展,省エネ型ライフスタイルの進展等のCO2排出量の削減に必要なあらゆる手段に加え,電気の排出係数が0.104 kgCO2/kWh まで減少しないと,2013年比で80%削減することは困難であることがわかった.