2017 年 73 巻 5 号 p. I_47-I_53
近年,気候変動の影響により局所的豪雨が頻発するようになり,貯水池内の濁度の上昇や高濁度現象の長期化が問題となっている.貯水池内での濁質挙動は水温成層の状態や洪水規模,流入水に含まれる浮遊懸濁物質(SS)の粒度組成から大きな影響を受ける.本研究ではこれらを考慮した上で,複数のダム湖を対象として鉛直一次元モデルを用いた気候変動下における将来の貯水池内濁水現象に関する将来予測を行った.その結果,将来の降雨量の増加に伴う流入SSの増加によって,放流濁水が長期化する結果が得られた.また気象条件の変化(気温上昇及び日射量増加)が貯水池内濁水現象に与える影響は,年間湖水回転率の大小によって異なる可能性が示唆された.