新津川原油自噴地域に生息する好気性および嫌気性オクタデカン分解細菌の培養と原核生物の群集構造解析を行った. 新津川土壌の好気性細菌についての分離培養では, 既知のアルカン分解細菌と近縁な細菌が高頻度で培養されてきた一方, 目レベルや科レベルといった高次の未培養系統分類群に属する細菌も75株中4株培養された. また原核生物群集構造解析において, 多様な分類群に属する16S rRNA遺伝子配列が検出された. 新津川底泥試料を植種した, オクタデカンと酢酸を主たる炭素源とした合成廃水を供給するCSTRにおいて, 集積培養した試料の原核生物の群集構造解析を行った結果, Methanosarcina属古細菌, 未分類Bacteroidales目細菌, Paludibacter属細菌の配列が高い頻度で検出された. 嫌気的アルカン分解において重要と考えられているアルキルコハク酸シンターゼのサブユニットをコードするassA遺伝子のPCR-RFLP解析の結果, CSTR内にはassA遺伝子を持つアルカン分解に関与する複数種の生物が存在している可能性が示唆された.