抄録
塩淡二層汽水湖の網走湖において,塩水層の貧酸素改善を目的に気液溶解装置(WEP)による酸素供給時の水質変化について実水域で実験的な検討を行った.現地で貧酸素水塊を採取し,循環水槽でWEPによる酸素供給を行った結果,純酸素を吸気した場合に溶存酸素を約40 mg/Lまで溶解可能であった.
現地の貧酸素水塊には毒性物質である硫化水素が130 mg/Lの高濃度で蓄積しており,酸素供給によって水中の硫化水素を固体硫黄へ酸化させる反応が優先して,硫化水素を無害化可能であることが,明らかとなった.また,硫化水素を完全に酸化させた水を底泥と接触させることで,水中のオルトリン酸が減少することを確認した.一方で数日間の酸素供給ではアンモニウム態窒素に影響しないことが分かった.