抄録
近年,河川におけるウナギの個体数が激減している.この原因として,乱獲や河川環境の悪化などが推定されており,改善の必要性が指摘されている.ところが,ウナギの生態やウナギ用魚道に関する研究がほとんど進んでいないのが現状である.ウナギ用魚道はウナギの遊泳能力に加えて,水で濡れた斜面の登坂能力を考慮して設計することが合理的である.本研究では斜面の傾斜を一定にし,斜面に配置する粗石の粒径を変化させて,クロコウナギの登坂特性を解明した.その結果,本実験条件の範囲内では粗石長径が20mmの場合によじ登り成功率が最大となった.また,クロコウナギは体を左右に屈曲させて,斜面上の粗石に体を引っ掛けるようによじ登っていることが確認された.加えて,粗石長径の増加に伴い,屈曲頻度のばらつきが増加し,平均よじ登り速度が減少することが判明した.