抄録
水力発電は他の再生可能エネルギーと比べると導入コストが大きいが,安定した電力供給を見込むことができる.一方で水力発電設備は一般的に山地森林域に位置するため,林業域における導入も想定される.しかしながら近年,木材単価の低迷や林業従事者の高齢化等によって荒廃が進行している林業域も存在する.本研究では林業域における水力発電の導入を想定し,林業の施業方式による林相変化が流況に及ぼす影響を解析することで,発電電力量および発電単価に与える影響を評価した.積極的な造林や伐採を実施する林業経営シナリオによって発電量が若干増加することに加え,林道が適切に整備されるため,水力発電設備の維持管理に間接的に役立つと考えられる.