2018 年 74 巻 5 号 p. I_41-I_52
気候変動リスクに対する理解と対処行動を促進するための情報提供方策を検討するため,ターゲットの特徴の明確化とそのボリュームを把握することを目的として質問紙調査を行った.その結果,地球温暖化(気候変動)に関心が乏しく明確な意見を持たないクラスターが回答者の4割以上であること,リスク認知や不安感が高く施策に肯定的な態度を持つクラスターや,地球温暖化に対して懐疑的で対策の必要性を感じていないクラスターの存在を明らかにした.人数の多い無関心なクラスターへの対応が特に重要と考え,地球温暖化に対する理解や対処行動を促進するための情報内容について考察した。地球温暖化について異なる考えを持つ人々に対し,それぞれに適した情報提供活動を行うことで,理解の深まりや緩和・適応策への肯定的評価や協力が期待できるだろう.