抄録
持続可能な社会の実現に向けて,個人の行動転換と社会の政策転換を実現することが課題である.本研究は,個人的な移動手段の選択と社会的な交通政策の選択およびその理由について調査し,道徳観や個人属性との関係を分析することを目的とした.結果として,現在,40%超が主に自動車を利用しているが,引越先の手段や利便性向上策としては,自動車よりもバスや鉄道等の公共交通手段の選択が多く,40%を超えた.市長になったとして進める政策としては,公共交通が50%を超え,みんなに使いやすいからとする理由が多くを占め,転換の可能性が示された.公共交通への政策選択は,環境にやさしいことや使うかもしれないことに加え,法律や決まりに反しないことや自分の良心に従うことなどの道徳観が間接的に関係しうることについても示唆された.