抄録
近年, 河床に付着する藍藻Phormidium autumnaleが産生及び放出するかび臭による利水障害が顕在化している. 東京都の水道水源である多摩川上流域は清澄な水質であるが, この藍藻により, 小作浄水場の原水で200ng/Lを超える高濃度の2-MIBが検出され, 粉末活性炭による厳しい対応を余儀なくされている. 本研究では, 今後の浄水管理等に活用するために, 2-MIB濃度の短期的な予測や最大濃度の予測を可能にするモデルの構築を目指した. 相互相関コレログラムや重回帰分析といった統計学的手法を適用し, オンラインで自動計測された平成27年度の3千を超える1時間刻みの水温データから2-MIB濃度を予測する重回帰のモデル式を得た. それを平成28年度のデータで検証したところ, 予測値と実測値の相関係数は0.853の高い数値が得られ, 2-MIB濃度を精度よく予測できることを確認することができた.