2019 年 75 巻 2 号 p. 65-74
下水処理水を利用して酒造好適米の栽培試験を行い,玄米品質と安全性を評価した.その結果,酒造好適米に要求される基本的な品質は,粗タンパク質が低かったことを除き,概ね達成することができた.その上で,得られた玄米はカリウム含有量が高く,優れた醸造特性や清酒品質に結びつく可能性が示唆された.また水質浄化能の観点からは,窒素およびリンについて,中干し以前の高負荷条件では10∼20%程度,中干し以降の低負荷条件下では80∼90%程度の除去率が得られた.さらに,土壌においては問題となるレベルの重金属の蓄積はなかった一方で,肥効成分であるカリウム含有量が増加した.