2019 年 75 巻 7 号 p. III_117-III_125
本研究は,福島第一原発事故由来の放射性Csの森林土壌中移動メカニズムにおいて,イオン交換態として存在するCsが土壌コロイド粒子に吸着した状態で土壌・地下水中を輸送される可能性に着目し,コロイド態Cs溶液と溶存態Cs溶液を作成してそれぞれカラム実験を行なうことによって,森林土壌中のCs移動におけるコロイドの寄与を分析した.その結果,土壌に流入した溶存態Csは約79%が土壌に吸着すること,土壌に流入したコロイド態Csは約86%が土壌に吸着せず,陽イオン交換による遅れを受けずに流出することが明らかになり,コロイドによるCsの森林土壌中移動メカニズムを検討することができた.また,降雨強度300mm/hrと降雨強度30mm/hrではCsの流出のピークにほとんど差がないが,降雨強度が大きいと土壌に吸着せず,浸透移動するCsが多いことが示唆された.