2020 年 76 巻 5 号 p. I_433-I_439
これまで気候変動対策による食料消費や飢餓リスクへの影響が明らかにされているが、そこからさらに低栄養に由来してどのような健康被害がもたらされるかについては明らかにされていない。本研究では気候変動対策による低栄養に起因する健康被害を明らかにした。結果として、第一に、パリ協定で合意された2℃目標に相当するシナリオでは、気候変動なし・気候変動対策なしのシナリオと比べて、2050年で低栄養を通じてDALYは170万年(16~275万年、複数のモデルによる不確実性幅)、失われる生命の経済価値は44-2000億ドル(GDP比0.032-1.5%相当)高くなること、さらに、その影響は南アジアやサブサハラアフリカなどの途上国で大きくなること、が示された。これは、気候変動対策と共に貧困層を中心とした人々への食料支援や健康にかかわる対策も実施する必要性を示唆する。