2020 年 76 巻 7 号 p. III_157-III_163
粒状担体流動と薬液添加逆洗(CEB)を併用した洗浄方法を組み込むセラミック平膜MBRでは、膜ファウリングを制御しながら高フラックスでの運転ができる可能性がある。しかしながら低水温時の運転においては、透明な膜面堆積物(ゲル層)による膜ファウリングが深刻化する。そこで本研究では、水温低下に伴うゲル層変化有無の調査を目的とし、様々な方法を用いてゲル層の構造・成分を分析した。走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察及びエネルギー分散型X線分光器(EDS)による元素分析より、ゲル層の構造と元素組成が水温変化に伴って大きく変化することが示された。フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)を用いた分析では、水温低下時にゲル層中タンパク質および脂質の割合が増加すること、汚泥上澄水中0.45μm以上の成分がそれらの起源となっていることが示唆された。また、水温低下に伴いゲル層と汚泥上澄水中有機物の糖/タンパク質比が低下したことから、低水温期のゲル層形成においてタンパク質成分が重要な関与をしていたことが推定された。誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)の結果、水温低下時にはゲル層に含まれるFeとPの増加が顕著であったことが示された。