2020 年 76 巻 7 号 p. III_27-III_32
本研究では,絶滅危惧種であるミナミメダカと外来種であるカダヤシの流水場からの忌避行動や退避場の利用の仕方の違いについて明らかにすることを目的とし,退避場を設置した水路を用いた実験を行った.
実験より,ミナミメダカには走流性が見られ,さらに流速に合わせてその行動を変化させることが示された.また,ミナミメダカは流速が15cm/sになると明確に退避場を利用するようになることが示された.対照的に,カダヤシには走流性が見られず,流速の増加に伴って退避場を利用する割合が増加し,明確に退避場を利用し始める流速は確認できなかった.このことから,ミナミメダカとカダヤシは一見同様な生息条件のもとで生息しているが,ミナミメダカは流れに対する抵抗性が強く,カダヤシは止水性の性質の強い魚であることが明らかとなった.