土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
環境工学研究論文集 第57巻
溶媒抽出による作物残渣の有機培地化に関する基礎的検討
赤尾 聡史川崎 向日葵野村 洋平藤原 拓
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2020 年 76 巻 7 号 p. III_311-III_318

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抄録

 養液栽培で使用される有機培地の代替材に関する検討を行った.農業地域で大量に発生する作物残渣(ナスの茎葉)を代替材候補とし,抽出操作により植物生育に阻害となる成分を除去する方法を検討した.ナス作物残渣抽出液のHPLC分析から,水,メタノール,エタノールおよびアセトンではポリフェノールと推定される物質が抽出された.抽出液を用いたミニトマト発芽試験では,メタノール抽出液が顕著な発芽・成長遅延を示した.アセトン抽出,続いて水洗浄を施したナス作物残渣をミニトマト栽培試験(成長初期段階,栽培日数33日間)に供したところ,培地形状の最適化を行っていない(粗破砕の作物残渣)にも拘わらず,一般的な培地であるロックウールと同等の成長を示した.溶媒抽出により作物残渣が有機培地として使用できる可能性を示した.

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© 2020 公益社団法人 土木学会
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