土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
環境工学研究論文集 第58巻
PMA-PCR法を用いた高温嫌気性消化汚泥の微生物群集構造の解明
阿部 天磨佐藤 幹子矢口 淳一李 玉友久保田 健吾
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2021 年 77 巻 7 号 p. III_103-III_109

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抄録

 下水汚泥を処理する嫌気性消化汚泥の微生物群集構造解析において,初沈汚泥や余剰汚泥由来の残存死細胞のDNAが問題となる.本研究では,細胞膜の損傷を生死の判断基準とするpropidium monoazide (PMA)-PCR法を用いて,残存死細胞由来のDNAを除去し,高温嫌気性消化槽において生きている微生物の群集構造解析を行った.その結果,従来の抽出DNAを用いる解析では,微生物の種数や多様性を過大評価していると考えられた.死細胞として残存している微生物は主としてAlphaproteobacteria,Gammaproteobacteria(主としてBetaproteobacteriales),Actinobacteriaであった.PMA-PCR法によって明らかにされた高温消化汚泥の微生物群集構造では,相対存在率上位15OTUが全体の8割以上を占め,中温消化汚泥に比べて特定の系統群の働きが重要である事が本手法においても確認された.

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