2021 年 77 巻 7 号 p. III_191-III_197
下水中に含まれる新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を定期的にモニタリングする下水疫学調査は,感染流行の動向を集団レベルで把握できる手法として期待されているが,下水中のSARS-CoV-2の感染性に関する懸念が調査の普及を妨げる要因の一つになっている.本研究では,下水中SARS-CoV-2の感染性調査への適用に向け,VeroE6-TMPRSS2細胞を用いたウイルス培養に基づくSARS-CoV-2感染性評価法を確立した.この方法を用いて下水中の感染性ウイルスとウイルスRNAの量的関係を解析することで,PCR法によるSARS-CoV-2 RNA実測値に基づく感染性SARS-CoV-2粒子量の推定が可能になると期待される.