土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
環境工学研究論文集 第58巻
下水汚泥焼却時における溶融物生成に及ぼす下水汚泥中の無機成分の影響
幸田 直也貫上 佳則有吉 欽吾下岸 徹也田仲 弘幸
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2021 年 77 巻 7 号 p. III_393-III_401

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抄録

 下水処理場の汚泥焼却設備への付着物による閉塞現象の発生機構の解明と予防対策の構築のため,下水汚泥中の無機成分の組成と融点および溶融物量との関係について,示差熱分析によって検討した.閉塞現象が発生している下水処理場の汚泥には,年間を通じて860℃前後の融点を示す物質の存在が確認され,冬季には融点が汚泥燃焼温度以下の800℃近くまで低下したことから,低融点化合物の存在が閉塞現象の発生に大きく関与していることがわかった.そして,汚泥中P2O5含有量が大きくなるほど融点は低下し,溶融物量は増加する傾向があったため,Pは閉塞現象を促進する元素であるとわかった.また,実下水汚泥の焼成物に試薬を段階的に添加した模擬試料に対する示差熱分析結果から,Mg, Al, CaおよびSiの含有量が高く,Na含有量が少ないほど閉塞現象が発生しにくいと推測された.

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© 2021 公益社団法人 土木学会
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